2026年11月2日に防災庁が発出した「事前防災徹底のための緊急要請」では、企業の防災対策について「定期的に点検」することが求められています。備蓄は、そろえた時点が最も整った状態です。人の増減や期限によって状態は変わっていくため、点検を続ける仕組みが欠かせません。この記事では、要請の内容を確認したうえで、防災備蓄の点検に使えるチェックリストを紹介します。
緊急要請が企業に求めた「定期的な点検」
各府省庁に宛てた要請文では、企業防災の具体的な対策を挙げたうえで、次のように書かれています。
「各企業においては、これらの対策、実施状況を定期的に点検し、必要な対策を徹底していただきますようお願いいたします。」
防災庁「事前防災徹底のための緊急要請(各府省庁宛)」より
「これらの対策」として挙げられているのは、次の項目です。
- 建物の耐震診断・耐震化や、設備・什器の転倒防止
- 人命の安全確保(避難経路・救命救助)
- 従業員等の安否確認体制の整備
- 災害時の指揮命令体制の整備
- 教育・訓練等の実施
- 食料・飲料水、医薬品、トイレ等の備蓄
- 二次被害防止(出火・落下・飛散・浸水)
この要請は、防災庁が各府省庁を通じて企業に取り組みを求めるもので、法律で義務づけられたものではありません。ただし、企業の取り組み状況は今後、「企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」などで確認していくとされています。
防災備蓄の点検チェックリスト10項目
要請に挙げられた項目のうち、備蓄と、備蓄を生かすための行動のルールについて、点検したいポイントを10項目にまとめました。拠点ごとに確認してみてください。

量と期限
- 全拠点に、在籍人数分の備えがある:本社だけでなく、支店や営業所も含めて確認します。
- 飲食料・電池などの期限を品目ごとに把握している:「いつまで使えるか」が一覧で分かる状態にしておきます。
- 期限が近い品の入替の段取りが決まっている:誰が、いつ、何を手配するかを決めておきます。
- 入社・異動の後、拠点ごとの数を見直している:人が増えた拠点で足りなくなっていないかを確認します。
社内で過ごすための備え
- 非常用トイレと衛生用品がある:断水したビルでは、トイレが大きな問題になります。
- 停電時の灯りと、携帯の充電手段がある:家族と連絡を取り続けられることは、社内で過ごす社員の安心に直結します。
- 寒さ・暑さへの備えがある:空調が止まった室内で過ごすことを想定します。
- 保管場所が分かり、すぐに取り出せる:鍵のかかった倉庫や、エレベーターが止まると取りに行けない場所に置いていないかを確認します。
行動のルール
- 災害時に誰が指示を出すか決まっている:社員を社内にとどめるのか、どう行動するのかを判断する人と順番を決めておきます。
- ルールと備えの場所を、社員が知っている:決めたルールは、社員に伝わって初めて機能します。
点検は「いつ」「誰が」行うか
点検は、思い立ったときに一度行うだけでは続きません。時期と担当を決めて、記録を残しておくことが大切です。

- 入社・異動の後(4月など):拠点ごとの人数と、備えの数が合っているかを確認します。
- 防災の日(9月1日)の前後:年に1回の総点検として、訓練と合わせてルールと保管場所も確認します。
- 期限が近づいたとき:飲食料や電池の入替品を手配し、入れ替えます。
- 拠点の新設・移転のとき:新しい拠点の人数と保管場所に合わせて配備します。
点検の結果は、日付・担当者・拠点ごとの数を記録しておくと、次回の点検や社内への報告に役立ちます。時期は一般的な目安なので、自社の人事異動や決算の時期に合わせて決めてください。
点検を続けるのが難しい理由
チェックリストの項目は、一つひとつは難しくありません。難しいのは、拠点が増えるほど、人の入れ替わりが多いほど、品目ごとの期限がばらばらなほど、確認する数が増え続けることです。点検を「その都度がんばる作業」ではなく、「決まった時期に、決まった情報が届く仕組み」にしておくと、続けやすくなります。
まとめ:点検できる仕組みを、平時のうちに
防災庁の緊急要請で、企業の備えは「そろえること」だけでなく、「点検し続けること」が求められるようになりました。災害が起きた後は、物資の確保も配送も難しくなります。点検の仕組みも、平時のうちにしか整えられません。
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